漫画から学ぶ「チーム&リーダー」~ドラゴンボール編~
こんにちは!おおはしりきたけです!
前回は、BECKを参考に「チーム&リーダー」という記事を書かせていただきました。今回は、あの超名作ドラゴンボールについて書かせていただきたいと思います。
■ドラゴンボールとは
ドラゴンボールを知らない方というのは、ほとんどいないのではないでしょうか。週刊少年ジャンプの全盛期を支え、1984年から1995年までのおよそ10年間連載された作品です。この間までドラゴンボール改というアニメもやっており、うちの娘も見ていました。親子2代で楽しめる作品になっています。簡単な概要は以下の様になっています。
世界中に散らばった7つ全てを集めると、どんな願いでも1つだけ叶えられるという秘宝ドラゴンボールと、主人公孫悟空(そんごくう)を中心に展開する「夢」「友情」「バトル」などを描いた長編冒険漫画である。
Wikipediaから抜粋(http://ja.wikipedia.org/wiki/ドラゴンボール)
ドラゴンボールとUX
今回は、ドラゴンボールの漫画の内容ではなくドラゴンボールというコンテンツはUXだというお話をさせていただきます。まず、UX(ユーザーエクスペリエンス)とはということですが、ニールセン・ノーマングループの定義を紹介させていただきます。
エンドユーザーと、会社およびそのサービス、製品との相互作用のあらゆる面を含んでいる。典型的なユーザーエクスペリエンスの第一要件は、つまらぬいらいらや面倒なしに、顧客のニーズを正確に満たすことであり、次に所有する喜び、使用する喜びとなる製品を生産するといった簡単、簡潔なことである。
@ITから引用(http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/userexperience.html)
いや~いまいちよくわからないですね。。。
UXの概念図としてPeter morville氏が「UXハニカム構造」として表現しているものがあります。
「UXハニカム構造」は以下の7つで構成されています。
- Useful : 役に立つ
- Desirable : 好ましい
- Accessible : アクセスできる
- Credible : 信頼できる
- Findable : 見つけられる
- Usable : 使いやすい
- Valuable : 価値がある
【Useful : 役に立つ】
皆さん思い出してください。ドラゴンボールを読んだ次の日、教室の話題はドラゴンボール一色じゃなかったですか?ドラゴンボールは読んでいる読者の会話のネタになるんです。「か~め~は~め~波っ!!」と言いながら教室でドラゴンボールごっこをやった方も多いと思います。壊れたメガネを見つけたらスカウターの代わりとして遊んだりしたと思います。ドラゴンボールはユーザー(読者)の役に立つということです。
【Desirable : 好ましい】
ドラゴンボールは内容はもちろんのこと、絵がダントツです。作者の鳥山明さんは、ドラゴンクエストなどのキャラクターデザイナーとしても有名ですよね。ドラゴンボールの戦闘シーンは、ナメック星や岩山など背景がすごくシンプルです。これは、戦闘中に必要なのはバトルしている主人公たちであり、背景は力入れる必要はありません。読者は、背景ではなく戦闘シーンが重要なんです。背景の書き込みが少ないからと言って、気になりましたか?全然気にならなかったと思います。もちろん街中のシーンでは、背景がしっかり書き込まれています。シーンごとに必要なUIの提供ができています。これはビジュアルだけではなく、情報設計もしっかりされている証拠です。ドラゴンボールのUIは好ましいです
【Accessible : アクセスしやすい】
ジャンプを読むとき、一番お目当ての漫画から読んでませんでしたか?ジャンプには目次はあるものの漫画のページにページ数はふってないんですよね。ジャンプでは人気上位の漫画が前の方にあります。ジャンプの全盛期は「SLAMDUNK」、「魁!男塾」、「珍遊記」など凄い漫画がたくさんありましたが、その中でも別格の人気だったため、雑誌の前の方にあります。人気のあるマンガは前の方にあるというジャンプの常識と、さらにドラゴンボールの絵はあの時代のジャンプ漫画の中では、「ジョジョの奇妙な冒険」や「こち亀」等に比べると、シンプルな絵柄なためパラパラめくるだけで簡単に見つけることができたと思います。ドラゴンボールは非常にアクセスしやすいです。
【Credible:信頼できる】
ジャンプを読んだときお目当ての漫画が休載していて悲しかった覚えはありませんか?私の知る限りドラゴンボールに関しては、ほとんど休載はなかったと記憶しています。休載が無いというのは、ユーザー(読者)にとって安心感を与えます。また集英社にとっても安心感があったと思います。つまり、ドラゴンボールは信頼できるというわけです。
【Findable : 見つけられる】
ドラゴンボールと言えば、個性的なキャラクターが沢山います。キャラを増やしすぎて読者を置いていく漫画もあれば、○ャプテン翼の様に、キャラ同士が似過ぎていて見分けがつかないなんてこともあります。ドラゴンボールのキャラデザインは、それぞれ個性的で分かりやすくなっています。迷うことがありません。ドラゴンボールのキャラは見つけられます
【Usable : 使いやすい】
ドラゴンボールは、漫画だけではなく、アニメ、ゲーム、フィギア等様々な展開がされています。日本だけでなく世界でも大人気です。ゲームは50本以上発売されており、フィギアなんかは、造形天下一武道会の様な大会が行われています。ドラゴンボールのキャラクターがそれぞれ個性的かかつ漫画のシーンも印象的なため、フィギアにするのに使いやすいからだと思います。
【Valuable : 価値がある】
ドラゴンボールの価値は、計り知れないものがあります。読者の立場である私は毎週ワクワクしながら読んでいました。学生の頃は、月曜日なんて嫌なものでしたが、ジャンプの発売日ということで、学校終わってから友達とジャンプを買いに行き、ドラゴンボールの熱い話をするといった青春時代を思い出します。また、ドラゴンボールが連載していた当時ジャンプの売上が漫画雑誌最高の発行部数が653万部というすごい記録を打ち立てています。ドラゴンボールには価値があります。
ちょっと強引なものもあったかと思いますが、ドラゴンボールはUXということが分かっていただけたでしょうか。「ドラゴンボールUX」というアニメが始まっても僕は驚きません。
■どんなチームか
ドラゴンボールの代表的な登場人物と言えばこの方々
- 孫悟空:主人公
- 孫悟飯:主人公の息子
- 孫悟天:主人公の息子2
- ベジータ:変な髪型
- トランクス:変な髪型の息子
- ピッコロ:緑の奴
- クリリン:悟空の仲間
- ヤムチャ:よく死ぬ
- 天津叛:目が三つ
- 餃子:よく死ぬ2
○自意識過剰
ドラゴンボールは、正直チームという目で見ると微妙です。それぞれ強さに自信のある者たちが集まって強敵に挑むというスタイルです。そして、みんなちょっと自信過剰です。そんな自信過剰なヤムチャが言ったセリフ
お前たちが思っているほどこの化け物たちは強くなかったようだな、のこりの4匹もこのオレひとりでかたづけてやるぜ…
この直後まだ息のあった栽培マンの自爆に巻き込まれ命を落とします…
次はベジータのセリフです
オ・・・オレは超エリートだ・・・!!あ・・・あんな下級戦士にやられるわけがない・・・!!! オレが宇宙一なんだ・・・!!!!
ヤムチャにしろベジータにしろ自分の能力にうぬぼれすぎて結果的に墓穴を掘っています。こんなエンジニアにならないよう注意しないといけませんね。
○見積もりが甘い
セル編での話になります。セルは人造人間17号、18号を吸収することで完全体になることができます。17号を吸収したセルは、完全体になるため18号を吸収しにかかります。天津飯なんて寿命が縮まる気功法打ちまくって阻止しています。しかし、ベジータが現れ完全体として戦いたいということで、セルに18号を吸収させ完全体にしてしまいます。結果は全く歯が立たず…何とかトランクスが頼み込んで10日後のセルゲームまで延長してもらうことができました。プロジェクトに置き換えると、要件の規模や難易度を把握しないままどんどん取り込んでしまい、結果間に合わせることができずに納期を延長してもらい、悟空というスペシャリストをアサインして何とかしのげたという形に近いかと思います。プロジェクト・スコープは広げちゃダメなんです。
■どんなリーダーか?
○リーダーというよりはスペシャリスト
悟空はリーダーというよりは、スペシャリストという感じです。上記にもあった通りドラゴンボールはチームとしては微妙です。スペシャリスト同士が集まっているという感じですね。悟空はサイヤ人です。サイヤ人は戦闘民族であるがゆえ青年期が長く、50歳を超えても老化現象がほとんどありません。35歳定年説なんてサイヤ人には関係ないのです。ベージタですら天才と認めた悟空の能力の高さは、クリリンが殺されたとき以下のセリフで開花されました。
クリリンのことか… クリリンのことかーーーっ!!!
超サイヤ人になるには、一定以上の戦闘能力と穏やかで純粋な心、あるいは純粋な悪を兼ね備え、極端な危機感、強い怒り等が発生したときに超サイヤ人になることができます。デスマーチで自分の能力が開花するエンジニアの方を見かけることがありますが、もしかしたらサイヤ人なのかもしれません。
■まとめ
ドラゴンボールって漫画としては超名作だと思うんですが、チームとかリーダーという視点で見たときは、良いとは言えないんですよね。悟空がいてこそという感じでしょうか。ピッコロ編、サイヤ人編、フリーザ編では、クリリン、ピッコロなんかは悟空の引き立て役でしかなく、結局最後は悟空が解決し、セル編でこそ悟飯に最後を託しますが、最後のブウ編では、また悟空が解決といったストーリーになっています。おまけにヤムチャや餃子といったメンバーも役に立てそうもないということから、途中から参加しなくなります。ドラゴンボールとワンピースは、どちらも王道バトル物で比較されがちですが、チームとかリーダーといった視点では、正反対と言えるでしょう。
最後に、僕が人生で衝撃を受けたセリフトップ3に入るフリーザ様のセリフでお別れしたいと思います。
私の戦闘力は530000です…
くれぐれも皆さんは「私の単価は530000です…」など言わない様にしましょう。